debtのブログ

借金 クレジット

ミナミの帝王が人気だった

オレの夜の店には暴力団関係者の客も多かった。 一昔前の夜の繁華街、その一本裏通りにはそういった人間がたくさん居た。

 
その中には金貸しをする人も多かった。
月一割や二割、トイチ、スタイルも様々だった。
 
今のようにコンビニATMもない時代。
夜遊びで金が尽きたら、帰る以外にない時代。
 
その当時は真っ当に看板を揚げているが、違法なカジノやゲーム喫茶は多数あった。
その店の片隅でじっと客の様子を窺い、手持ちがなくなった頃合いで声を掛けて融資する人もいた。
 
オレのような夜の飲食店の営業者はどうしても現金が必要になってくる。
スタッフの女性の給料が全額日払いだったからだ。
客からの支払いは現金のみならず、カード、売掛があった。売り上げはあっても現金が回らない。
そんな日は電話一本で融資してもらっていた。
店と常連客という間柄、トイチで良いと言って借りていた。借用書は必要なかった。
 
月末には入金がある。今日を乗り越えれば、という考え方ばかりしていた。
 
オレにある信用なんて、そんなもんだった。
今夜を助けてくれるだけ、ありがたかった。