debtのブログ

借金 クレジット

オートローンの申し込み

どうしても自分だけで所有する車が欲しかった。

父親と一緒に使う車と、その行為自体がとてつもなく嫌だった。
休日に使えもしない車、タバコの灰が舞っていることを注意される車、タイヤとホイールのキズを注意される車。息の詰まる車。
 
150万円ぐらいで売っていた中古車のアメ車が欲しかった。子供の頃に初めて買ったミニカーと同じ車種。憧れの車だった。
貯金は数万円、頭金にするほどはない。
60回で払えば、月に二万三万、余裕だろ。ぐらいに考えていた。し、その22歳当時、月に23万円の手取りはあった。借金もゼロだった。
 
ローンやクレジットの知識がなかったオレは、分割の申し込みなんか、誰でも審査を通るものだし、保証人なんて親の名前を書く程度にしか思っていなかった。
 
最初にオートローンを申し込みに行ったのはJAバンク、農協だった。同級生が新車を買う時に借りていた。金利が安いと言っていた。
窓口で必要書類に記入し提出。所得証明を出せと言われる。会社に言えば貰える、とのことで一旦引き上げる。
会社、といっても勤めていたのは夜の飲食店、クラブ、スナックだった。納税証明など出てくるところではなかった。明細書からは所得税が引かれているのに不思議に思った。もっと高額が引かれ続けていくことになるけど、それで良いなら、本当に税金を引いて証明を出すよ、みたいな話だった。
 
名ばかりの社員と、バイトの差もない底辺企業なんかこんなものだ。
 
だけど、借金に無知なオレは、数パーセントの金利の差なんかどうでもよくて、中古車店のオートローンでも、車が手に入りさえすればちょっとの差なんてどうでもよかった。
2パーセントか8パーセントの差なんか、憧れの車を所有することを目の前にして、どうでもよかった。
 
オレは再び中古車店を訪れ、オートローンの申し込み書に記入した。