debtのブログ

借金 クレジット

事故のマークが消える時

この文章は、書きながら自分自身、けっこう気に入っていたものだ。
下書きを完成させたと同時に、何かをクリックしたらしく、どこかにしまわれるか、消去された、ハズだった。
それが見つかったので、公開する。
前回と同じ事を伝えているのだけど、熱量が違う。ではでは。
 

ここからの話は、もしもまだ借金のない人には自分を自制するために、できるように、もうどっぷりと借金のある人には共感をしてもらえたらと思う。

 
人間には魔が差すという瞬間がある。
その瞬間まで、オレは幸か不幸か借金ができずにいた。
 
ある平日の午前中だった。
とてつもなく風俗に行きたくなった。行きたくなるのは、世の中の男性多数がそうであるように、仕方ない。
パートナーにバレずに、財布の中のお金で済ませれば良いだけだ。
 
その日、オレに手持ちはなかった。
日中の繁華街、そこにあるサラ金が各フロアに入居した雑居ビル。
看板の謳い文句こそ大手サラ金と変わらないものの、全国チェーンでない地元のサラ金
今じゃそれぐらいのことがわかる。
しかし、当時、それがいわゆる街金と区別されることなんか知らないころだ。
 
気が付いたら、最上階までエレベーターで上がってきていた。
風俗、よりもオレの借用できる信用を試したいでいた。
 
ガラス越しの受付カウンターには、普通のOLさんのような女性が座っていて、安心できる金融機関だと思えた。
うまくいって、3万円でも借りられれば、その日の風俗の金額には充分だった。
申し込み用紙に記入して、待つ。
審査中だ。
冷静に、自分のしていることへの後悔と反省と自己嫌悪。風俗への期待感、自由になる数万円。ダメでもともとの気持ち、最初はなかったんだし通ればラッキーぐらいの気持ち。
数万円ぐらい給料日に返せるという、どう考えても余裕の計画。
 
無事に審査を通る。
限度額、なんと20万円。カードを受け取り、店舗横のATMで”引き出せる”という。
オレの長い借金生活では、この瞬間から感覚が変わる、変わってしまう、麻痺する。
融資を受けるのではなく、自分に与えられたら枠を引き出す。最初は必要に迫られた分だけ、いずれは全額。
 
味も素っ気もないブルーのカード。
暗証番号を入れて3万円を引き出した。まだ17万も使えるし、3万円の返済は給料日に一瞬だ。
 
遠い後に驚くことになる。
この時の最も古い契約書、借用書の金利は40%だ。
そういう世の中だった。
普通に考えれば大変なことだ。
今ならわかる。
それを目隠しするための大手サラ金チェーンのパクりだし、受付のお姉さんの雰囲気だ。
 
何も知らないオレは、我が物顔で札を差し出し、そういう金が似合う世界の店に脚を踏み入れ、帰ってこなくなった。
 
そうなるのに大して時間は必要ない。